さよなら大儍哥

ちょうど一年前のこと。
その頃、習い物の帰りに毎週足しげく通っていた糖水店(甘党屋)があり、そこで湯圓を外買(テイクアウト)するのが習慣となっていた。

そこの店主はいつも元気な日本で言えば江戸っ子ってこんな感じ?な、女性。
オーダーをいつも聞いてくれるのは、レジにいる彼女かもしくは店先近くに立っている店員のお姉ちゃん。
が、その日は2人とも見当たらない。
奥でなにか作業をされているのか?すると、スゴーく怖いカオのオヤジがオーダーを書く紙を持ってこっちに向かってくる…。このおじさん、歳の割りに香港人にはめずらしく、体格が良い。
というか、香港人のおじさんたちは温厚な人が多いのに(特に女性に対してはネ)。
こ、このおじさんのカオが、(香港一怖い!と、一瞬思ったほど)怖かった。
私の目の前に来て、「イウ、マッえェ?!」(何にする?)と…威嚇されてるように睨まれたー。
私が「ヤッウン(一碗)湯圓…。」というか言わないかで「メワぁ?」(なにぃ?)と、更に怖い顔で聞き返された!
すると、お店のおねーちゃんが戻ってきて、そんなことしてくれなくても良いわよ-笑いながらその怖いオヤジからオーダー用紙を取り上げると、オジサンのカオが急に温和になり、照れ笑いしているではないか!

オーダーした湯圓を待っている間、「このオジサンどこかで見たことあるよなあー。」「そういえばオヤジ、ラフなかっこうしてるけど、こざっぱりしてる」と、考えを巡らせていた。香港のこの手のお店の表には雑誌の切抜きとか、明星写真(芸能人来店のオーナーと肩を並べてるの図)が必ず張ってある。
そこを見て思い出した!この人映画に出てるやん!!
そう、愛称大儍(訳して大バカ?)と呼ばれて、親しまれている悪役スターだった。
成奎安、この方悪役で任侠映画に出ている有名な俳優さんであった。そして、その後どこかへの差し入れと思われる大量の食べ物の出来上がりを待って、それを手にいそいそと上機嫌で店を後にした。
思うに、自分がオーダーした大量の注文のために店が忙しくなり、(もちろんお店の方とは親しい間柄なのだとは思うが)手伝って自分が他のお客さんの注文を聞こうという思いやりだったのだ。

カオは香港一怖いが、心はなんて温かい人なのだろう。

亡くなられたのは数年前の癌が転移して再発だったと聞く。友人の話によると、実家に住んでいる老齢のお母様に深刻な病状を悟られまいとして、病院から抜け出しておうちに戻ったのが悪化の原因とか。

記事

さよなら大儍哥。オーダーを取って頂いた時のおっかなさは、忘れません。
ご冥福をお祈りいたします。
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by miaomi | 2009-09-05 11:03 | 明星  

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